5.くだものは血糖値を下げた

では実験結果のうちのいくつかを紹介しましょう。グラフ2.〜8.はその測定値を示したものです。誰も彼もくだものを食べたときの方が確実に下がっています。予測通りの結果ではありましたが、これはどはっきり出るとはびっくりしました。

グラフ2.〜5.はごく一般的な人の例ですが、これと糖尿病の人の数値を示したグラフ7.、8.、境界型の人のグラフ6.を比べてみてください。血糖値が異常に高い人ほど、その下がり方が極端です。くだものの場合、体のよい人も悪い人も、血糖値の変化にそう大きな差がないということがわかります。

次にこんな興味も湧いてきます。「くだものならどれも同じだろうか。糖度の高いものと低 いものでは自ずとちがってくるのでは？」。そこで同じ人に何種かのくだものを食べてもらい、くだものごとのちがいを調べることにしました。その結果の一例がグラフ9.です。紅玉リンゴは精度14度、日向夏は11度ですが、かえってリンゴを食べたときの血糖値のほうが低くなっています。もっと数多くのデータを集めないと一蹴には決められませんが、少なくとも「糖度が高いほど血糖値も上がる」という図式は成り立たないようです。

ただしくだものの中でも、特によいものとさはどでもないものとがあるのはたしかなようです0グラフ10.〜13.はブドウをテストした人のデータですが、ブドウの場合は一人を除いてやや数値が高くなっています。また表1.〜4.はその時のインスリンの分泌量を調べたものですが、はとんどの人が他より多めに消耗しています。とはいっても、ブドウ糖よりよいことは明らかです。このような差異は、それぞれのくだものの「甘味の内容」、つまり蕉糖、ブドウ糖、果糖の内訳のちがいに関わりがあるとも考えられますが、今のところそこまでの調査は進んでいません。いずれくわしく調べてみたいと思います。